時は満ちた。
「もしもし。約束、覚えているだろ?」
「ん? ・・・・・・約束?」
「ゲーム、作るぞ」
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昨夜、徳島駅前からタツヨシに電話した。
「大学は? この春卒業したのか?」
「ああ」
「専門は?」
「来年卒業だから、この秋から就活はじめる」
「よし、じゃあウチの会社に内定だ」

今朝、僕は徳島から帰ってきた。徳島へは、本を作るために行ったはずだった。しかし僕は、滞在したその4日間の中で、ゲームを作ることに決めた。

以前名古屋の徳林寺で知り合った、仙人みたいな人のお宅へおじゃました。すごかった。山奥に住んでいるが実は、オシャレな仙人だった。これは、ちまちまと、他人の話を集めて本なんか作ってる場合じゃない。

これはもしかしたら、共感と味わいと感謝を、ゲームで結んで楽しむことができるかもしれない。

町役場に電話した。
「―と、いうことなので、一度会ってお話を聞いてもらえないでしょうか」
「いいですよ。いつでも」
「僕は今夜、横浜に帰ってしまうのですが、今度いつ頃ならよろしいでしょうか。お約束いただける日にまた来ますので」
「いいですよ。いつでも」
「え? じゃあ、あの、突然ですが本日でも、お時間いただけますか?」
「はい。いいですよ」
「ああ、ありがとうございます。では何時頃お伺いすれば・・・」
「いいですよ。何時でも」
「じゃあ今からお伺いしても・・・」
「コーヒーとお茶、どちらがお好きですか?」
「え? じゃあお茶で」

10分後、役場に行ってプレゼンした。プレゼンというかもう、企画会議みたいになっていた。2時間くらい、役場のH美さんと、H美さんを紹介してくれたA子さんの3人でアイディアを出し合い、問題点を潰していった末、最終的にはどうなるか見えないが、とりあえずプロジェクトを動かしていけそうな感じでまとまった。

忙しい中、時間を割いて下さった方々に感謝なのだ。


高校時代、僕はなぜだか勢いで、「ゲーム作る系」の専門学校に行くことに決めた。いつだったかタツヨシに語ったことがあった。
「いつかゲーム会社つくる予定だから、そのとき経理か何かで雇ってやるよ」
「会社とか作るのはカネとかいろいろ面倒なことが多いから、既にその辺にあるちっちゃな会社に入って、そこをのっとる方がうまくいくんじゃない?」
「ああそうか、なるほどその手があったか。あとヰワオは、テストプレイヤーで雇ってやるから」
「つまらんゲームはやりたくないけどまあ、面白かったら引き受けるよ」

学生の安易な野望と同様に、僕が役場に持ち込んだ企画にもすぐに、障壁が現れた。しかしそこで、役場のH美さんは言った。

「壁があるというのは良いことよ。それがなければ、誰だってできるってことだし、それを乗り越えられたら、我々にしかできない、ものすごい価値があるものになるのよ」

そうだよなあ。
H美さんは、気さくな人だった。僕はその時、西健一さんにもらったちびロボTシャツを着ていたのだがそれを見たH美さんは、
「こんなん着てるから、任天堂のマワシ者かと思った」
と言って笑った。

さて、まあそんなわけで僕は、ゲームを作ることにした。

「味わいライフで本作るとか言って、どうせいつか、ゲームに戻るんだろうと思ってたけど、まさかこんなに早かったとは」
昨夜の電話でタツヨシは言った。
「まあゲームを作るけど、ゲームであんまり儲けず、ゲームのガイドブックを売って、そっちでボロ儲けする予定だから」

僕は、自分で独自にビジネスを開き、役場にはただ、広報かなんかで宣伝してくれればいいと思って話を持ちかけたのだが、話していくうちに、役場の協力を得た方が100倍やりやすい状況になってきたのでとりあえず、上に話を持ちかけてくれるように頼んだ。だから数日後、全面否定されて弾き出される可能性も、高いのか低いのか、よくわからないのだ。でもH美さんは、

「壁があるのは良いことよ」

と言った。弾き出されても壁に潰されても僕はこの、ゲーム作りという名のゲームを、これからしばらく味わっていくことにした。僕の味わいたい世界が、そこに見えたような気がしたから。

でも、今夜はまた空港で、肉体労働味わいライフ。


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ゲームタイトル「奥のアカ道(仮)」
サブタイトル「ゲーム人間」
2006年3月3日 発売予定
販売予定価格 500円
公式ガイドブック予定価格 1200円
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by KazuFromJP | 2005-06-24 11:27 | ゲーム『人間』
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